電子化した車検証はどう変わった?特徴や注意点をチェックしよう

2023年5月12日 事故車の基礎知識

国土交通省では20231月より、新しい車検証の導入を開始しました。新しい車検証の特徴のひとつはICタグの装着で、車検証に記載されていた情報をデータ管理できるようになりました。

車検証は時代と共に変化を重ね、手書きで作成されていた時期もあります。電子化直前の車検証は偽造抑制対策が施されており、特殊な印刷になっていました。では、車検証が電子化されるとどのような変化が起こるのでしょうか。この記事では、車検証が電子化された理由や特徴についてご紹介します。

電子化された新しい車検証が2023年より導入開始

車検証の正式名称は自動車検査証です。該当の車両が保安基準を満たしていることを証明する書類で、道路交通法によって規定されています。

現在の車検制度は1951年に制定されました。定期的に改正されており、20231月からは新しい車検証が採用されています。ここでは、電子車検証の概要や導入された背景について見ていきましょう。

車検証は電子化でコンパクトになる

新しい車検証はICタグが搭載されて電子化されました。従来の車検証では、車両に関する詳細な情報が券面に記載されていました。新しい車検証ではICタグを利用した管理が可能です。

新しい車検証が導入に伴い、券面のデザインに変更が加えられました。従来の車検証はA4サイズでしたが、電子車検証はA6サイズになっています。従来の車検証では紙が使用されていましたが、新しい車検証ではICチップが搭載されたことにより紙が厚くなりました。

車検証が電子化された理由は利便性の向上

国土交通省では、電子化の理由について「自動車ユーザーや自動車関係の事業者の皆様のさらなる利便性向上」と発表しています。

従来の車検では、点検や整備を終えた後に車検の依頼を受けた業者が申請していましたが、管轄の運輸支局が遠方にある場合でも、窓口で申請しなければなりませんでした。この際にかかる移動や手続きの時間は、整備事業者等の負担になっていました。

車検証の電子化が行われたことで、オンラインでも更新が可能となり、運輸支局で申請する手間や時間が省けるようになりました。

ワンストップサービス(OSS)にも対応

ワンストップサービスとは、複数の場所に分散されている手続きを一度にまとめて進められるサービス形態のことです。電子車検証は、自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)に対応しています。

ワンストップサービスがスタートしたのは2005年です。導入が始まった当初は利用できる手続きや地域が限られていましたが、 現在では新車登録や永久抹消登録などのさまざまな手続きに対応しています。電子車検証が導入されたことで、手続きがよりスムーズになりました。

電子化された車検証の特徴・情報の確認方法(所有者・使用者を確認したい方はこちら)

電子車検証では、サイズや券面情報などの変更が加えられています。以前は券面に記載されていた情報の一部が、ICタグに保管されるようになりました。新しい車検証では専用アプリにも対応しています。

新しい車検証に戸惑わないためにも、従来の車検証との違いを把握しておきましょう。ここでは、電子車検証の特徴を4つご紹介します。

サイズの変更

電子車検証ではサイズの変更が行われており、従来の車検証よりもコンパクトになりました。具体的な違いは以下の通りです。

  電子車検証 従来の車検証
縦のサイズ 105mm 210mm
横のサイズ 177.8mm 297mm

従来の車検証はA4サイズでしたが、電子車検証は文庫本と同じA6サイズが採用されました。車検証の右端にはICタグが添付されています。

電子車検証は従来の車検証と同じように、運転中の携帯義務がありますが、サイズがコンパクトになったため、保管がしやすくなりました。

券面の記載情報

従来の車検証と電子車検証では、券面に記載されている事項が異なります。電子車検証の券面の記載事項は以下の通りです。

電子車検証では、車両識別番号が新たに記載されました。これは電子化に伴い車両ごとに付与されています。

ICタグに格納されている情報

ICタグに保管されているのは、従来の車検証の券面に記載されていた情報です。電子車検証の券面には載せられていない、以下の情報が保管されています。

車検証の有効期限 使用者の氏名 所有者の氏名
所有者の住所 使用者の本拠の位置 帳票タイプ

電子車検証では、記載変更の伴う全ての情報がICタグに格納されました。ICタグには車検証の記録とは別に、アプリケーションの搭載可能な記録領域が設けられています。空き領域の具体的な活用方法は今後検討される予定です。

車検証閲覧アプリに対応

新しい車検証は、国土交通省が提供する車検検証閲覧アプリに対応しています。「iOS」、「Android」、「Windows」などの主要OSを対応しており、スマホやPCを通して利用が可能です。

車検証閲覧アプリの主な機能は車検証情報の閲覧で、アプリをインストールした後にICタグに記載されているセキュリティコードを入力するだけで使用できます。車検証閲覧アプリはその他にも以下の機能についての対応が可能です。

・車検証情報の出力や保存
・車両のリコール情報のチェック

専用アプリを使って『所有者・使用者』を確認する方法は、以下のページを参考にされてください。

(参考:『車検証閲覧アプリ使い方|自動車所有者・使用者の方へ|電子車検証特設サイト』)

所有者情報は、リンク先の動画の2:14頃~出てくるホーム画面の「所有者・使用者情報」で確認することができます。

スマホやPCなどの通信機器を所有していない場合、券面に記載されていない情報の確認はできません。券面に記載されていない情報を確かめたいときは、通信機器を用いる必要があります。

ただし、制度開始から3年間は「自動車検査証記録事項」による確認が可能です。券面に記載されていない事項を確かめられる書類で、電子車検証の発行時に受け取れます。

車検証の電子化によるメリット

車検証に関する新しい制度は、利便性の向上という目的があります。以前では車両に関するさまざまな手続きにおいて券面の記載内容の変更が必要でした。また、交付のために窓口に並ばなければならないというデメリットもありました。

電子車検証が導入されたことでいくつかの手続きが簡素化されました。ここでは、車検証の電子化による4つメリットについて詳しく見ていきましょう。

車両に関する必要な情報をICタグで管理できる

車検証の電子化によりデータの一元化が可能になりました。車検証に搭載されているICタグには該当する車両の情報に加えて、加入している自賠責保険の情報も収められています。

バラバラになっていた情報がまとまることで、手続きに必要な情報を探す時間を短縮できるのです。情報がひとつに集約されていることで、保管場所を探す手間や時間を省けます。

結婚による氏名の変更や引っ越しによる住所変更において、従来の車検証では記載内容の書き換えが必要でした。電子車検証の導入により、データ上で内容の書き換えが可能です。

車検の手続きがスムーズになる

車の所有者は車検証に記載している「有効期間の満了する日」までに車検を受けなければなりません。ディーラーや整備工場に車検の依頼した場合、点検や整備をした後に新しい車検証の交付手続きをします。

交付手続きのために管轄の運輸支局に足を運ばなければならず、車検が終わるまでに一定の時間を要する場合もあるでしょう。電子車検証なら、オンラインによる車検証の交付の手続きが可能です。従来の車検時における流れと比較した場合、車検の手続きにかかる時間を大幅に短縮できるのではないかと推測できます。

専用アプリで必要な情報を入手できる

車検証閲覧アプリの機能は車両情報の閲覧だけではなく、次の機能が備わっています。1つ目は車検の有効期限の通知です。普通車の新車を購入した場合、購入後から3年目、2回目以降については2年後に車検を受けなければなりません。

購入した店舗によってはお知らせのはがきが届くことがありますが、電子車検証なら通知設定をオンにしておくだけで知らせが届くのです。

2つ目はリコール情報の確認です。所有している車がリコール情報の対象になった場合、アプリで内容をチェックでき、当該車両に関係した全てのリコールや不具合の情報を確かめることが可能です。

専用アプリの使い方は、以下のページを参考にされてください。

(参考:『車検証閲覧アプリ使い方|自動車所有者・使用者の方へ|電子車検証特設サイト』)

車検証の電子化による注意点

利便性に優れた電子車検証ですが、今までの車検証から変更されることはメリットだけではありません。従来の車検証は紙媒体でしたが、電子車検証にはICタグが搭載されており、取り扱いに注意しなければなりません。

また、新しい仕様の導入に伴って手数料が値上げされていることもあり、不要なトラブルを避けるためにも、変更に伴う注意点を前もって把握しておきましょう。

電子車検証は、同じタイミングで一律に切り替わる制度ではありません。新規登録時や車検時などの、従来の車検証に記載される内容が切り替わるときに発行されます。

電子車検証の発行対象となる手続きをする前に、電子車検証に切り替えることは認められていません。また、発行対象以外の手続きをした場合も、従来の車検証を継続して使用します。

軽自動車の車検証については電子化に対応していません。20231月にスタートした車検証の電子化は普通車が対象です。

軽自動車の車検証の電子化は20241月を予定しています。普通車の場合と同じように、従来の車検証が発行されるケースで電子車検証の受け取りが可能です。軽自動車の車検証でも経過措置が設けられており、施行開始から3年間は「自動車検査証記録事項」を受け取れます。

慎重な取り扱いが必要

ICタグは電波を使って情報を読み取るため、汚れ、傷、水分などが表面に付着すると読み取りの精度が低下する恐れがあります。電子車検証を保管する際には、以下の使用を避けましょう。

・直射日光の当たる場所で保管する
・電子車検証を折り曲げる
ICタグを切り取る

電子車検証を車内で保管する際には、ダッシュボードの上ではなくグローブボックス内に閉まっておくのがおすすめです。なお、ICタグが壊れたときには、管轄の運輸支局や自動車検査登録事務所で再発行の手続きが可能です。

手数料が引き上げられた手続きがある

車検証の電子化に伴い、202311日より車検の検査手続きに関する手数料が値上げされました。一例として持込検査で継続検査を受けるときの手数料額は以下の通りです。

  202311日以前の手数料 202311日以降の手数料 値上げ額
普通車(3ナンバー) 2,200 2,300 100
小型自動車(54ナンバー) 2,100 2,200 100
小型自動車(二輪) 1,700 1,800 100
大型特殊自動車 1,800 1,900 100
軽自動車 1,800 2,200 400円

202311日より100~400円値上げされました。また、車検証の紛失や破損で再発行する場合、1件に対する手数料が300円から350円に値上がりしています。

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20231月にスタートした車検証の電子化は、ICタグが搭載されており、券面に記載されている情報や車両に関する情報を格納できます。

電子化されて便利になった電子車検証ですが、車の手続きをするときの取扱いに迷われることもあるでしょう。例えば、一時抹消登録や永久抹消登録の際には、車検証の提出が必要で、車検証が電子化されましたが必要な書類に関する変更はありません。

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